ISO13485は、正式には「ISO13485:2016 医療機器の品質マネジメントシステム-規制目的のための要求事項」といいます。

一方、ISO9001は、「ISO9001:2015 品質マネジメントシステム-要求事項」が正式名称です。

どちらも品質マネジメントシステムです。

品質マネジメントシステムとは、製品の設計・開発、製造、保守サービスなどについて手順やルールを定めて、一定の品質を満たした製品を安定して供給する仕組みのことです。

ISO9001は、製造業からサービス業まであらゆる業種に対応可能です。汎用性がある分、医療機器に適用しようとすると、その安全性を確保しきれないという問題がありました。

そこで開発されたのが、ISO13485です。ISO9001をベースに、医療機器の安全性や品質を確保するのに必要な要求事項が追加されています。

ISO13485には、医療機器特有の要求事項として、

・要員の健康、清潔さ及び衣服
・医療機器のバッチに対するトレーサビリティの確保
・製品の洗浄性及び汚染管理
・滅菌医療機器(注射器、メス、ピンセットなど)に対する固有の要求事項
・(能動)埋込み医療機器(ペースメーカー、人工内耳など)固有の要求事項

等々が規定されています。

ISOに参加する各国は、国民の健康維持・向上のため、医療機器を厳しく規制しています。ISO13485が「規制目的のための要求事項」とされているのは、このためです。

医療機器の顧客満足とは安全性を担保することであり、仕組みは改善する以前に効果的に(要は安全に)機能しなければいけなないという考え方があるからです。

ISO13485の目的は、世界中の医療機器法令の整合化を促進することであり、顧客やら仕組みの改善といった事柄とは直接関係がないのです。

ISO13485の中には、「国又は地域の法令(が要求する)」といった文言が頻繁に出現します。法令に従えということです。

ISO9001を始めとする他のISO規格が、自社の特徴を生かしたマネジメントシステムを尊重するのに対して、ISO13485では、何よりもまず法令を順守するシステムが優先されます。