ISOの世界では、何か問題が起きたら、必要に応じて是正処置を行うことを求めています。

是正処置とは再発防止策のことです。問題の原因を特定して、その原因を除去することで再発を防止します。

面白いのは、原因を除去する処置の可否は組織の判断に委ねられていますが、原因を特定すること自体は必須であることです。(原因不明なら仕方がないですが)

何か問題が起きたら、その原因を探ることは重要だというわけです。

話は変わりますが、

ポスト・イット(付箋)が開発されたいきさつをご存じですか?

強力な接着剤の開発中に、たまたま発生した不良品だったそうです。

このエピソードは、失敗の中から成功が産まれる偶然性(セレンディビティ)の実例としてよく使われます。

寒天で有名な伊那食品工業㈱の塚越寛会長も同じ事を言っています。

「寒天は固まるのが当たり前。でも固まらない不良品がしばしば発生する。この不良品を他の用途に利用できないか?」

今では、寒天を利用した医薬品、バイオテクノロジー製品まで手がけています。

不良品を量産するのは、立派な技術の一つです。不良品を再現するのは、実はとても難しい。

失敗の原因を完全に把握していないとできないからです。

逆に、失敗の原因が完全に把握できていれば、失敗の再発を完全に防止することが可能だということです。

トヨタ自動車が「なぜ?」を3回繰り返して、不具合の原因を追及する理由が、これでおわかりでしょう。