「営業部門 品質目標」

毎年この時期になると、この検索ワードで当サイトにたどり着く方が増えます。

品質は商品に関わるものだから、工場の連中に任せておけばいい。

普段からそうお考えなら、いきなり営業の品質目標と言われてもピンとこないかもしれませんね。

品質には二つの側面があります。

「製品品質」と「業務品質」です。

製品品質は文字通り製品に付随する品質、業務品質も文字通り「お仕事の品質」という意味です。

お仕事の品質と考えれば、製造にノータッチの部署も知らんぷりはできません。

今の仕事をもっと効率的にこなすことも、よりよい仕事のやり方を探求することも業務品質の向上につながります。

今週はネットカフェでサボる時間を減らして、新規先を10件回ろう!

というのも、営業の品質目標として十分アリです。

ちなみに、「売上目標や利益目標を品質目標に設定するのは問題があるか?」という質問を受けることがありますが、ISO9001上は何ら問題ありません。

ISO9001の目的の一つは顧客満足の向上なので、顧客満足が向上すれば売上も伸びると考えれば、売上を品質目標にするのは筋が通ります。

ただ、お勧めはできません。

売上や利益目標というのは最終目標です。

売上や利益に至るまでに不確定要素が多すぎるので、売上や利益自体を目標にするのは管理が大変です。

売上や利益を直接コントロールできませんが、売上や利益につながる行動は管理できます。

売上や利益につながる行動を営業マンにしっかりやってもらうような目標を品質目標にします。

扱う商品や対象とする顧客によって違いはありますが、例えば、

見込み客発掘→情報提供・収集→提案→受注

という段階を経て営業活動が進むとします。

見込み客を発掘するために、社として積極的な訪問が必要だと判断すれば、訪問件数を目標にします。

情報収集が足りないと考えれば、総商談時間を目標にすればいい。

それだと、客先でダラダラしてしまう恐れがあるというのなら、提案件数も目標設定すればいいかもしれません。

個々の営業マンごとにこれらの目標を設定し、それらを積み上げて課なり部なりの品質目標にすればいいのです。

このような目標の立て方をすると、現実が見えてきます。

訪問件数が増えない原因は何なのか考えるようになります。客先で話すネタがないというのがその原因なら、皆でネタを見つけて持ち寄よればいいということになります。

営業における個々の活動について品質目標を設定すると、営業活動の標準化、つまり「見える化」が進展します。

営業トークやツールも共有化されるので営業部隊が底上げされます。

それぞれの案件についてどの段階まで営業活動が進んでいるかも把握できるので、効果的な指示・指導が可能です。

どうせ、営業部門でISO9001に取り組むのであれば、ここまで頑張ってみてはいかがでしょう。