昨年から建設業法が改正され、国交省は社会保険に加入していない建設業者への加入指導を行っています。将来的に公共工事から未加入業者を排除する方針です。

先日、テレビの情報番組を観ていたら、この法改正に関連して胡散臭い儲け話が紹介されていました。何万人も存在する一人親方のような小規模建設業者を対象に保険加入代行業務を展開すれば、絶対に儲かるのではないかと…。

彼らは掛け金の負担が重いから保険に加入しないのであって、決して制度に疎いとか手続きが面倒とかいう理由で加入を渋っているのではありません。だから、私はこのビジネスは絶対に儲からないと思います(笑)。

注意深く見てみると、法改正のニュースは身近なところにたくさんあります。

年明けの株式市場では学習塾関連銘柄が急騰しました。政府による減税措置で祖父母から孫へ贈与される教育資金が非課税になるとの方針が伝わったからです。税制の変更です。

消防法の改正により、老朽化した地下貯蔵タンクの改修が義務付けられました。1月末で期限を迎えます。廃業に追いこまれるガソリンスタンドが多数発生すると予想されています。

3月には中小企業金融円滑化法が終了します。新年度以降は、金融機関との融資交渉の際には実効性の高い経営改善計画が必要になります。リスケに応じてもらえる(???)事業計画書なるもののひな形を販売しているコンサルも出現しています。

法改正の内容いかんで、自社の事業が大打撃を受けたり、思いもよらなかった追い風に助けられたりします。

話は変わりますが、ISO14001では順守すべき環境関連法規制やガイドラインを明確にした上で、これら法規制の新設・改定状況を把握しておくことが求められています。

ISO14001を取得する前提条件として「法律ぐらい当然守ってくれよ」ということです。

そんなわけで、ISO14001を取得している会社さんでは、環境関連法規を定期的にチェックする手順を設けているのですが、残念ながら“やらされ感”で実施しているところが多いのが実情です。

でも、法規制の新設・改正情報が事業上のピンチやチャンスを示す重要なシグナルだと認識すれば、事情はかなり違ってきます。

ISO14001では、経営トップが外部の経営環境を認識し必要な処置を下すことになっています。外部の経営環境には当然、法規制の新設・改正情報が含まれます。

自社の事業の明暗を分ける法規制の動向が、事前に経営者の耳に届くような手順に整備しておいてこそ、ISO14001が真に経営に役立つツールになり得るのです。

※ 蛇足ですが、環境関連法規制の改正情報は何を参照すればよいのか?よく質問を受けます。下記のHPがよくまとまっています。ご参考ください。

環境省ホームページ/法令・告示・通達/追加された告示・通達等一覧