■ 文書全体を見直しましょう ■

初めてのISO認証取得の際には、つい勢い込んで文書を過剰装備してしまいます。

しかし、取得後ある程度期間が経つと、そこまで細かく書かなくても実施できていることがたくさんあることに気づくはずです。

もちろん、最低限文書化しなければいけない箇所はありますが、それ以外の部分でムダと思われる文書は思い切って整理しましょう。 “捨てる”勇気も必要です。

■ マニュアルは一冊にまとめましょう。 ■

下位文書である規定や手順書が複数ある中で、親玉のマニュアルが複数冊あると、「船頭多くして船山に上がる」といった状態に成りかねません。

先に述べました通り、文書・記録の管理、マネジメントレビュー、教育・訓練、内部監査といったシステムの根幹をなす部分は、どのISO、マネジメントシステムとも共通です。

なるべく共通の手順や文書を活用するようにしましょう。これまでのマニュアルを“活きるバイブル”にする絶好の機会です。

■ すでにある管理規定を活用しましょう ■

「品質管理規定」「環境管理規定」「安全管理規定」といったものを個別に作成するのはお勧めできません。 それぞれの管理の整合性が取れずに独り歩きする危険性があります。

現場のお仕事の手順を規定化した「○○○規定」「△△作業手順書」といった類のものが、御社にもあるはずです。それを利用しない手はありません。

品質管理、環境対策、安全管理、セキュリティ対策は、現場のお仕事の中で行われます。 であれば、普段使っている規定や手順書に、これらのルールを定めたほうが運用しやすいのは言うまでもありません。

■ 管理責任者は原則1名 ■

どのISO、マネジメントシステムでも、“管理責任者”を置くことが求められています。規模が大きい会社ですと、それぞれのISOごとに複数名の管理責任者を立てています。

しかし、これら管理責任者間の連携がうまく取れていないと、例えば、品質の内部監査の翌週に環境の内部監査が入ったりと、現場を大混乱に陥れるような事態が発生します。

全社統括する管理責任者を置き、すべてのISO管理する管理責任者を部署ごとに設置する方が現実的です。

それほど規模が大きくない会社であれば、管理責任者は1名で充分です。規格の勉強をしなくてはいけませんが、実務はそれほど増えることはありませんので、ご安心を。

■ 内部監査もなるべく1回で ■

上述のように、品質、環境、食品安全、情報セキュリティ、労働安全衛生を個別に監査するのは避けましょう。監査を受ける側が大変です。

同じような質疑応答を何度も繰り返すより、一度にまとめた方が効率的なのは言うまでもありません。

マネジメントレビューも然りです。品質、環境、食品安全、情報セキュリティ、労働安全衛生の各方面から、運用状況を総合的に判断して、有効な対策を打つことができるように、レビューの頻度や内容を決める必要があります。

■ 受審時期をまとめましょう ■

最近は少なくなりましたが、年2回の定期審査を受審している会社であれば、規格数×2回受審する必要があります。年がら年中、審査を受けている感じですね。

また、現在、どの審査機関も審査員を余剰に抱えています(外部委託も含めて)。しかし、複数のマネジメントシステム規格を審査できる審査員は圧倒的に少ないのです。

そこで、各審査機関はサービス面での差別化を図るために、そういった審査員の育成に精を出し始めています。

そうなりますと、将来的に、より少ない回数で、より少ない審査員で、より短時間で受審することが可能になります。当然、審査にかかる諸経費も少なくて済みます。

一度、ばらばらな時期で認証取得してしまうと、後が大変です。定期審査は1年を超えない範囲で受審するのがルールになっていますので、1年飛ばして次の審査に合わせるなどということはできません。時期を合わせるために、余計に審査を受けざる得なくなります。

早く取得したいのはやまやまですが、既存のISOの審査基準日を踏まえた上で、全体のスケジュール(構築→運用→受審)を組むことをお勧めします。

>>ISO統合マネジメントシステムに関するお問い合わせはこちらから。