ISO14001の取得が求められる理由は、2点あります。

協力会社がISO14001を取得していれば元請責任を果たせる

一つ目は、環境保全に対する世間の意識の高まりが挙げられます。

昨今は耳にタコができるくらいCO2による地球温暖化が騒がれています。専門家が、地球の平均気温の推移を示すグラフを持ち出して、危機をあおる姿をあなたもテレビで目にしたことがあるでしょう。

また、ゴミ屋敷や産業廃棄物の不法投棄に関するニュースも後を絶ちません。一般ゴミの有料収集に踏み切る自治体が相次いでいます。

あちこちの業界で規制緩和が叫ばれていますが、こと環境に係わる分野においては、逆に規制強化が加速しています。雨後の竹の子のように新法が出現しています。

PRTR法(化学物質管理促進法)、アスベスト被害救済法、VOC(揮発性有機化合物)規制、少し前には、RoHs(電気・電子機器に含まれる特定有害物質の使用制限)が話題になりました。

このような背景から、企業活動における環境保全のあり方にも自然と世間の注目が向くようになってきています。

従って、御社の取引先や親会社も、環境保全に対する協力会社の取り組みを注意深くうかがっています。

もし、周囲の環境に悪影響を及ぼすような事故や事件が起きようものなら、利害関係者である自分たちも世間から糾弾される恐れがあるからです。

ISO14001における環境保全活動では、御社の業務や作業を見直し、なるべく環境に負荷を与えないようなやり方に改良します。御社に環境保全の仕組み(環境マネジメントシステム)を取り入れるわけです。

そして、ISO14001は、御社でも取引先や親会社でもない、第三者機関(審査機関)が公平公正な立場から御社の環境マネジメントシステムを審査する制度でもあります。

ISO14001を取得すれば、御社は環境に十分配慮して企業活動を推進する環境マネジメントシステムを有し、かつそれが有効に機能している会社だと認められたことになります。

また、ISO14001は国際的に認められたルールですので、世界中どこに行っても御社の環境保全に関する信用力は担保されます。

御社の取引先や親会社は安心して、ISO14001を取得している御社に仕事を任せることができるのです。

ISO14001を取得していれば協力会社として選定しやすい

二つ目は、ISO14001の管理上の問題です。

ISO14001を取得すると、環境によいことをどんどん実践しようという動きが活発になります。

地域の清掃や道路の植樹、イベント協賛といったボランティア活動にいそしんでいるISO14001取得企業が貴社の近所にもあることでしょう。

しかし、どんなに活発に環境保全活動を推進しても、自社だけではやがて限界がきます。

そこで、ISO14001の活動に、取引のある協力会社をも巻き込んでいくようになります。

環境保全活動を外部の組織に働きかけることも、ISO14001で求められる大切な活動の一つです。

ISO14001を取得している役所が、グリーン購入法に従って、環境負荷の小さい製品やサービスを提供する協力会社を入札で選ぶというのは、こういった事情が影響しています。

既にISO14001を取得している取引先や親会社にとっては、協力会社を選定する際に御社がISO14001を取得していると、まことに都合がよいわけです。

参考:ISO14001以外の環境マネジメントシステム

京都議定書では、2008年から12年までの5年間に先進国全体のCO2排出量を1990年に比べて5.2%削減するという目標が先進国に義務づけられました。

環境省が主導した「チーム・マイナス6%」というプロジェクトを耳にしたことがあるでしょう。

この間、排出権取引といった環境ビジネスも生まれました。環境保全に取り組む企業への融資制度や補助金の助成制度も充実してきました。

目標達成のために、政府は国内の企業や団体に環境マネジメントシステムの導入を積極的に勧めています。ISO14001は環境の国際標準規格なので、その代表格になっています。

最近では、ISO14001以外にも様々なマネジメントシステムが登場しています。環境省が定めた「エコアクション21」が有名です。

こういった動きは地方にも拡がっていて、ISO14001をベースにしながらも独自のシステムを作って、その普及に努めている地方自治体や団体があります。

例えば、京都府では「京都府環境マネジメントシステム」、北海道商工会議所では「北海道環境マネジメントシステム」を立ち上げています。

ISO14001の普及が進んでいない中小・零細規模の事業者にも環境マネジメントシステムを導入してもらいたいからです。

いずれの環境マネジメントシステムも、ISO14001 と比較して費用や手間がかからないことから、導入する企業が増えてきています。

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