ISO22000:2018「4.1 組織及びその状況の理解」の解説

ISO22000:2018 4 組織の状況
4.1 組織及びその状況の理解

 組織は、組織の目的に関連し、かつ、そのFSMSの意図した成果を達成する組織の能力に影響を与える、外部及び内部の課題を明確にしなければならない。

 組織は、これらの外部及び内部の課題に関する情報を特定し、レビューし、更新しなければならない。

注記 1  課題には、検討の対象となる、好ましい要因又は状態、及び好ましくない要因又は状態が含まれ得る。

注記 2  組織の状況の理解は、国際、国内、地方又は地域を問わず、法令、技術、競争、市場、文化、社会及び経済の環境、サイバーセキュリティ及び食品偽装、食品防御及び意図的汚染、組織の知識及びパフォーマンスを含む。ただし、これらに限定されるわけではない。外部及び内部の課題を検討することによって容易になり得る。

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解 説

2005年版のISO22000にはない新設の要求事項です。ISOを共通の枠組みで作り直そうという世界的な流れ中で生まれた要求事項です。ISO9001/ISO14001をお持ちの会社さんならおなじみですよね。

「外部及び内部の課題を踏まえたうえで、FSMS(食品安全マネジメントシステム)を作って、それを運用してね」という主旨です。

不思議なもので、ヒトは、問題や課題が明確になると、それを解決したくなる習性があります。

食品安全の課題を解決する手段として、マネジメントシステムを構築してもらいたいわけです。形式だけのマネジメントシステムを防止する意味合いもあります。

“外部及び内部の課題”とは

1.外部の経営環境からもたらされる食品安全の課題
ex.「働き方改革法案が施行され、5日以上の有給休暇付与、残業時間の上限規制により、業界全体で、労働時間短縮が衛生管理に及ぼす影響が懸念されている」「業界全体で外国人労働者の受け入れや女性、高齢者の雇用促進が求められている」「食品衛生法が改正され、HACCPに沿った衛生管理が求められる」…

2.自社の内部要因からもたらされる食品安全の課題
ex.「社員の高齢化、退職が進み、食品安全面も含め技能の伝承が進んでいない」「バイトの出入りが多く、バイトテロ、バカッター炎上等が懸念される」「工場の設備が老朽化しており、安全衛生上のリスクがある」…

といったことです。

ISO22000取得/移行のポイント

【必要な仕組み・ルール】
・だれが、いつ、課題を決定し、レビューするのか

を自社の実情に合わせて(自社がやりやすいように)決めてください。

「外部・内部の課題を明確にせよ」と言っています。ISO業界では、「~を明確にしなければならない」は、「~の仕組みやルールについてたずねられたら、答えられるようにしておく」という意味です。

“口頭”で答えても結構ですし、“紙に書いたもの”を指し示して答えても結構です。

ただ、「レビューし、更新しなければならない」(後で見直し、内容に変更があれば、新しい情報に直す)とありますので、事実上、紙に書いておかなければ運用できないと思われます。

通常、これらの課題は、社内で話題や議題にのぼったりしますよね。そして、その対策も含めて、経営計画や事業計画、アクションプランといったものに落とし込まれます。そういった社内の仕組みをそのまま活用すればよいでしょう。

すでに、ISO22000 をお持ちの会社さんは、一度課題を明確にしたら、その後は、マネジメントレビューで見直すという方法で結構です。

【食品安全マニュアルの記載例】
“社長は、年度初めに、当社の食品安全に関わる内外の課題を整理し、「中期経営計画」に記載する。”

といった文言をどこかに書いておきましょう。(あくまでも一例です。)

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