まずは、食品を扱う前提条件として守らなければならないルールを確認します。例えば、

・食品と食品原材料を分別する。
・衛生的な方法で廃棄物を処理する。
・適切な保守管理、清掃、洗浄、消毒ができるような設備・装置を使用する。
・病気、傷害のある者に食品の取り扱いをさせない。
・従業員や訪問者には防御服や頭・靴の覆いを身につけさせる。

といったことです。食品関係の職場であれば、当たり前のように実施していることが中心です。

次に食品安全を脅かす危害(ハザード)を分析します。

○原材料や製品の特性を明らかにした上で、原材料の受け入れから製品の出荷まで、どの工程にどのような危害が存在するかを洗い出します。
・病原菌の増殖
・洗浄剤や殺菌剤の残留
・金属やガラス、石といった異物混入
といったものです。

○危害を洗い出したら、それらの危険度(危険の大きさ)を評価します。危害が発生する可能性や実際に発生した際の健康被害を考慮に入れます。

○危険度が高い危害については、食品の安全が保たれる許容水準まで危険度が低減されるよう管理手段を決めて実施します。

管理手段や先の前提条件として守らなければならないルールについては管理手順書などにまとめて、従業員に周知徹底させます。

食品安全方針や目標を設定し、日々の仕事の中で食品安全衛生活動を実施していきます。

もし、食品安全の許容水準を超えたり、管理手順に従わなかったりした場合は、それらの原因を追求し、再発防止策を講じます。

以上のような活動を通して、食品の安全衛生レベルを継続的に向上させる仕組みが「食品安全マネジメントシステム」です。

この食品安全マネジメントシステムを構築・運用する際のルールを定めたものがISO22000です。

ISO22000には「やらなければいけない」ことしか書かれていません。

それを「どのようにやる」かは、御社の状況(フードチェーンにおける位置づけ、抱えている食品安全リスク)に即して決めてよいことになっています。

そして、ここがISO22000が役に立つか役に立たなくなるかの分かれ道です。

ISO22000の取得ばかり考えてしまうと、現状維持にきわめて近い管理レベルの仕組みに落ち着いてしまいます。危害は減りません。

自社の安全管理上の短所を補って、取引先や消費者に安心してもらうような仕組みを作るのが、ISO222000の本当の目的です。