ISO39001は、道路交通安全マネジメントシステムに関する国際規格です。

道路交通安全マネジメントシステムとは、道路交通事故による死亡者や重症者を減らすための管理体制のことです。

ISO39001は、2012年10月に発行されたばかりで、交通先進国で知られるスウェーデンの提案がきっかけで誕生しました。

スウェーデンは、交通事故を減らすというよりも、死亡や重篤な災害を減らすことに重点を置いた政策を掲げて、一定の成果を上げていました。ISO39001にもこの考え方が色濃く反映されています。

ISO39001とは、道路交通安全マネジメントシステムを社内に構築し、それをより良い仕組みに発展させるために必要な決め事が集められたルールブックです。

ISO39001には、道路交通安全に関する次のルールが載っています。
・自社の課題や法規制の特定
・社内における役割、責任と権限の明確化
・リスクの特定、安全管理指標の設定、目標と達成計画の策定
・コミュニケーションルートの整備、必要な設備の確保、社員教育
・ルールの実運用、緊急時への準備・対応
・調査、データ収集と改善活動

ISO39001の対象となる組織は、貨物輸送業、旅客輸送業、自動車(部品)メーカー、自動車整備・修理業、道路工事(清掃)業、通勤や営業に車両を使用している会社、駐車場、自治体など、何らかの形で道路交通に携わっている組織であれば取得可能です。

国際規格というくらいですから、ISO39001を取得すれば、道路交通安全にしっかり取り組んでいる優良企業として世界的に認められたことになります。海外に展開する運送業者ならなおのこと取得の効果は大きいでしょう。

ところが、この国際標準というのが実はクセ者です。

道路交通安全の分野では、日本はスウェーデンと並んで世界トップクラスの安全水準を誇っています。はっきり言って、国際標準であるISO39001の方がはるかにレベルが低いのです。

例えば、ISO39001には、実施すべき安全対策として以下のような項目が列挙されています。
・路側帯や交差点設計を考慮した道路設計をする、安全速度の設定する
・当該等級の車両を運転するための適切な免許を利用する
・シートベルト、チャイルドシート、ヘルメットを着用する
…etc

ISO39001は、人や家畜、オートバイや自動車が混然一体で往来している開発途上国が、多発する交通事故の撲滅に官民一体となって取り組むことをメインターゲットにしています。

日本では、どれもずっと以前から当たり前に実施されていることです。

だから、ISO39001を取得したからといって、魔法のように急に事故が少なくなるわけはありません。わが国では、ISO39001が想定しているレベルでは、すでに十分に交通事故は低減されています。

普段私たちが当たり前にやっていることしか要求されていませんので、他のISOと比較しても、ISO39001は割と簡単に取得できてしまいます。

キックオフからわずか数か月で取得する会社が散見されるのもISO39001の特徴です。

ISO39001の取得を検討する際は、この辺りの事情も考慮に入れておきましょう。

<<ISO39001相談室へ

その他、ISO39001の情報は >>こちら。(無料レポート、参考書籍、コラム、文書事例集等)

>>ISO39001に関するお問い合わせはこちらから。