ISO45001:2018「5.1 リーダーシップ及びコミットメント」の解説

ISO45001:2018 5 リーダーシップ及び働く人の参加
5.1 リーダーシップ及びコミットメント

トップマネジメントは,次に示す事項によって,労働安全衛生マネジメントシステムに関するリーダーシップ及びコミットメントを実証しなければならない。
a)労働に関係する負傷及び疾病を防止すること,及び安全で健康的な職場と活動を提供することに対する全体的な責任及び説明責任を負う。
b)労働安全衛生方針及び関連する労働安全衛生目標を確立し,それらが組織の戦略的な方向性と両立することを確実にする。
c)組織の事業プロセスへの労働安全衛生マネジメントシステム要求事項の統合を確実にする。
d)労働安全衛生マネジメントシステムの確立,実施,維持及び改善に必要な資源が利用可能であることを確実にする。
e)有効な労働安全衛生マネジメント及び労働安全衛生マネジメントシステム要求事項への適合の重要性伝達する。
f)労働安全衛生マネジメントシステムがその意図した成果を達成することを確実にする。
g)労働安全衛生マネジメントシステムの有効性に寄与するよう人々を指揮し,支援する。
h)継続的改善を確実にし,推進する。
i)その他の関連する管理層がその責任の領域においてリーダーシップを実証するよう,管理層の役割を支援する。
j)労働安全衛生マネジメントシステムの意図した成果を支援する文化を組織内で形成し,主導し,かつ,推進する。
k)働く人がインシデント,危険源,リスク及び機会の報告をするときに報復から擁護する。
l)組織が働く人の協議及び参加のプロセスを確立し,実施することを確実にする(5.4 参照)。
m)安全衛生委員会の設置及び委員会が機能することを支援する[5.4 e) 1) 参照]。

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解 説

「トップマネジメント」は、労働安全衛生マネジメントシステムにおける最高責任者のことです。社長もしくは役員クラスが適任でしょう。複数名でも構いません。工場単位で取得する際は工場長ということもあります。

トップマネジメントが労働安全衛生マネジメントシステムに関与することが強く求められています。a)~m)に、トップマネジメントの具体的な役割が列挙されています。

ちなみに、「~を確実にする」とは、“(トップマネジメントの責任の下)確実に~する体制が敷かれている”という意味で、必ずしもトップマネジメント自ら実施しなくても構いません。逆に、それ以外の項目はトップマネジメントの役目です。

a)に、「~説明責任を負う」とあります。審査では、この5.1項については、必ずトップマネジメントがインタビューを受けます。ISO45001を取得しようと思った理由、ISO45001で何を実現したいのかといった点は整理しておきましょう。

c)は、“自社の活動、仕事のやり方や業務フローに、ぴったりフィットする労働安全衛生マネジメントシステムを構築してね”という意味です。他所のマニュアルを借りてきて、ちょちょいと直したようなマニュアルではいけません。

ISO45001取得/移行のポイント

【必要な仕組み・ルール】
・トップマネジメントを、誰が担当するのか決めておきましょう。
・a)~m)をトップマネジメントの役割として、労働安全衛生マニュアル等に明記しておきましょう。

実際のところ、審査では、審査員との世間話のような会話の中で、a)~m)を確認されますので、それほど構えて審査を受ける必要はありません。

【労働安全衛生マニュアルの記載例】
“社長は、次の事項を実行することで、労働安全衛生マネジメントシステムに対するリーダーシップを発揮し、最終責任を負う。
a) 労働災害を予防し、安全で健康的な職場を提供することについて説明責任を果たす。
b) 経営戦略に合致する労働安全衛生方針や労働安全衛生目標を設定する体制を敷く。
c) 当社の業務や活動とISO45001で求められているルールのひも付けを行い、実際の業務とISOの業務が別々のものにならないような体制を敷く。
…(以下、省略)”

d)以降は、こちらからお問い合わせくだされば、喜んでお答えします。

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