取得するための具体的な準備期間を定めたルールはどこにもありませんが、時間的・物理的に3ヶ月での取得は不可能です。

ISO文書を整備し、システムの運用を開始してから、審査を迎えるまでにはある程度の期間が必要です。

最低でも2ヶ月は必要です。

運用後に、必ず実施しなければいけないイベントは、内部監査とマネジメントレビュー(経営者による見直し)です。

両者は、PDCAサイクルのCheck(点検)とAction(改善活動)の部分に該当しますので、ある程度システムを回して運用の実績を蓄えなければ、実施することはできません。

まず、この運用実績が最低1ヶ月は必要です。

1ヶ月目に内部監査を実施し、必要な改善処置を施します。改善処置の進捗を計りながら、マネジメントレビューを実施します。審査準備も並行して進めます。これも、やはり1ヶ月はみておくべきです。

すると、どうしても運用を開始してから、審査まで2ヶ月は必要です。どんなに短縮しても1ヵ月半が限界です。

先に述べたとおり、準備期間を具体的に定めたルールはありませんが、審査機関は運用開始から審査までの期間を独自に内規として定めています。

3ヶ月というのが一般的です。つまり運用を開始して、3ヶ月未満だと審査を断られることのほうが多いのです。

仮に、運用を開始してから1ヶ月半~2ヶ月で審査を受けることが可能だとして、3ヶ月で取得するというのであるならば、

運用の前段階であるシステムの構築を1ヶ月から1か月半で行ったことになります。

これは、どう考えても無理があります。

自社の業務プロセスを明確にして、ISO規格の内容を理解し、それにどう取り組むかを決め、決めたことを文書に落とし込む…

これだけの作業を1ヶ月から1か月半でこなせる会社さんは、そうはめったに存在しません。

また、それを指導できるコンサルタントもそうはいないでしょう。

数週間、合宿方式で、社員さんとコンサルタントを拘束すれば、不可能なことではありませんが、そんな人的負担をかける会社さんは、ほとんどないでしょう。

そんなに長期間連続したコンサルタントの派遣を受けてくれるコンサル会社も、ほとんどありません。他のお客様の指導に支障をきたすからです。

…ということは、考えられる手段は、ただ一つ…

コンサル会社の用意した文書をそのまま使うことです。

せいぜい、担当者を御社の実際の役職名に書き換える程度です。原案はコンサル会社がこれまでのノウハウを詰め込んで作った文書なので審査もスムースに通ります。

ただし、一つ条件があります。

自社の仕事のやり方を無理矢理、その文書に合わせる必要があります。

サイズの合わない靴を無理やり履くようなものです。靴擦れや外反母趾が心配です。

このようなやり方では、仮に取得が出来たとしても、いずれ破綻を迎えます。

システムを全面的に作り直すか、

作ったシステムとは別に、これまでの仕事をこれまでのやり方で行うか(いわゆるダブルスタンダード)、

のどちらかです。

明日にでもISOを取得しなければ、会社の命運が絶たれてしまう…という状況でなければ、決してお勧めはしません。

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