ISO取得を求められる理由
ISOとは、簡単に言いますと、取引上の安全を確保する国際的な仕組みのことです。
ISOは、品質、環境、情報セキュリティ、食品安全、労働安全衛生等、多岐にわたる企業活動について定められた国際ルールです。
ISOの審査機関から認証を受ける(=ISOを取得する)ことで、ISOで決められた仕組みやルールに基づいて活動を行っている企業、団体であることが、日本国内のみならず海外でも認められるようになります。
ISOは、その会社と安全に取引できるかどうかの、有力な判断材料の一つになるのです。
ISO取得を求められたら…
お客様は、あなたの会社と安心して取引できる証がほしいのです。
だからと言って、必ずしもISOが必須とは限りません。
場合によっては、ISOに準ずる仕組みやルールを有していればよいケースもあります。
例えば、環境分野なら、ISO14001でなくても、環境省主管のエコアクション21がありますし、独自の環境マネジメントシステム認証制度を用意している自治体もたくさんあります。
情報セキュリティーなら、ISO27001でなくてもプライバシーマークの取得で済む場合もあります。
食品関係なら、ISO22000やISO9001の前に、HACCPによる衛生管理という選択肢もあります。
ISOの取得には、それなりの手間や費用がかかります。取得を決断する前に、改めて先方の要望をしっかり確認してみてください。
弊社が受けた相談の中には、取引先と話し合った結果、業務マニュアルの提出だけで解決したというケースもあります。
ISOの種類
ISOには、いくつもの種類があります。下表は代表的なISOです。
ISOの種類 | 取得に向いている業種 | 目的・ねらい |
ISO9001 【品質管理全般】 | 全業種 | ・業務改善を継続的に進める仕組み作り ・作業標準の確立 ・製品品質のバラツキ補正 ・不良率の低減、歩留りの向上 |
ISO14001 【環境保護】 | 建設業全般 製造業全般 | ・環境保護活動を継続的に推進する仕組み作り ・省エネ、省資源、再利用・再使用の推進 ・産業廃棄物、温室効果ガスの排出量削減 ・エコ商品開発目的・ねらい |
ISO27001 【情報セキュリティ】 | 情報サービス業 | ・情報セキュリティレベルの継続的向上 ・各種重要情報(顧客情報、技術情報、知的所有権、 企業ノウハウ等)の保護 ・ソフトウェア、ハードウェアの保護 |
ISO22000 【食品安全】 | 食品製造業 食品卸売業 輸送業、小売業 | ・製造部門のみならず全社的な食品安全の仕組み作り ・食品安全管理手法の確立 ・食中毒、食品事故の予防 |
ISO13485 【医療機器の品質 管理】 | 医療機器製造業 | ・医療機器の安全性確保と品質保証 ・医療関連法規制の順守 ・リスクマネジメントによる医療事故の予防 |
ISO39001 【道路交通安全】 | 道路旅客運送業 道路貨物運送業 自動車販売業 | ・交通事故による死亡や重大な負傷の撲滅 ・永続的な運行管理体制の構築と定着 ・ミス、錯覚、不安全行為等の防止・軽減 ・安全最優先意識の浸透 |
ISO45001 【労働安全衛生】 | 建設業全般 製造業全般 | ・労働安全衛生の永続的な推進体制の確保 ・労働災害の削減、予防 ・労働者の健康増進、快適な労働環境の形成 ・労働安全衛生管理ノウハウの蓄積 |
もし、ISOを取得するのでしたら、これらの中からいずれかを(複数でも構いませんが)選択する必要があります。あなたの会社にピッタリのISOは見つかりましたか?
取引先の意向ももちろん大切ですが、自社の業種や取り扱う製品・サービス、自社がISOで何を実現したいのか、そのあたりをしっかり見据えたうえでお決めください。
ISOを取得するには
ISOを取得するには、次の3つのステップを進みます。
- ISOの仕組みを作る。
- ISOの仕組み通りに仕事をする。
- 審査を受ける。
順に説明しましょう。
1.ISOの仕組みを作る。
先ほど、ISOは国際ルールだと説明しました。
例えば、ISO9001は品質管理に関する国際ルールです。その中に、「製品を作るときには計画を立てましょう」というルールがあります。
(行き当たりばったりに作っていては、とてもじゃありませんが、そんな製品、お客様に出せっこありません。当たり前と言えば当たり前の話なのですが、ISOには案外、こんな当たり前のルールが多いのです。)
製造業なら生産部長が生産計画を立てたり、建設業なら現場担当者が施工計画を立てたりしますよね。
ラーメン屋さんなら、どういう順番でラーメンを作るのかが計画になると思います。
“ISOの仕組みを作る”とは、ISOで求められているルールを“我が社では、こんな風にやりますよ”と自社のルールに置き換える作業を指します。
そして、“当店において、製品を作る計画とは、ラーメンを作ってお客様にお出しするまでの段取りをすることです。”という具合に文書にまとめます。
こうして出来があった文書のことを、ISO9001では「品質マニュアル」と呼びます。(ISO14001なら「環境マニュアル」、ISO22000なら「食品安全マニュアル」になります。)
2.ISOの仕組み通りに仕事をする。
マニュアルに書かれていることを実際の仕事の中で試してみます。
基本的に普段やっていることばかりなので問題ありませんが、時折、マニュアルに書かれているのとは別のやり方で、現場の作業で行われているケースが見つかります。
頭の中の記憶やイメージで、マニュアルを作っている箇所があるからです。
マニュアル通りにやると意思統一するか、マニュアルを現場に合わせて直すかを決めます。
マニュアルに書いてあることが、一通りできるようになったら、いよいよ審査を受けます。
3.審査を受ける。
審査は2回にわたって実施します。2回とも、審査員が御社にお邪魔して審査を行います。規模の大きい会社さんだと、審査員が複数でやって来ます。
1回目は、ISOで求められているルールが抜けもれなくマニュアルに盛り込まれているかを審査します。
2回目は、マニュアルに書かれていることを、社員の皆さんがお仕事の中できちんと実施しているを審査します。
審査では、「ここを直してくださいね」と宿題をもらいます。
それを直して、審査員からO.K.が出ると、晴れてISO9001の取得です。
最後に
個々のISOに関する情報は、下記をご覧ください。