ISO取得のメリットとしてよく挙げられるのが、「責任と権限の明確化」です。

ISOを取得すると、社員間の役割分担がはっきりするので、やるべきことのヌケモレがなくなるとか、社内の風通しがよくなるなどと言われます。

ISOのコンサルの場でこの話をすると、「そんなことをしたら、自分の役割の仕事しかやらなくなる」としばしば反論されます。

果たしてそうでしょうか?

役割分担がはっきりしていないので、「それはオレの仕事じゃない。あんたがやれ」という具合になります。相手のほうも「こっちこそ、オレの仕事じゃない。知らないよ」と反撃します。

結局、「誰かがやらなければいけないけど、誰もやらない仕事」が生まれるわけです。

逆に、役割分担がはっきりしていると、「これは僕の仕事なんだが、申し訳ないけど手伝ってくれないかな?」となり、「そんなに忙しいなら手伝ってあげるよ」という返事が返ってきます。

相手が困っていればその仕事を手伝おうというのが「思いやり」で、仕事を手伝ってくれたときに相手に対して抱くのが「感謝」の気持ちです。

自分の仕事と相手の仕事との区別がはっきりしているからこそ、「思いやり」や「感謝」の気持ちが生まれるのです。

あなたの職場が仕事を押し付けあうような組織風土なら、つまり「思いやり」や「感謝」の気持ちが足りない職場なら、役割分担がはっきりしていないことをまず疑ってみるべきでしょう。

最近、書店で何気なく手に取った左の本にも同じような事例が紹介されていました。ご参考まで。